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東京高等裁判所 平成6年(行コ)185号 判決

静岡県庵原郡蒲原町中六五二番地

控訴人

佐野好一

右訴訟代理人弁護士

杉山繁二郎

静岡県清水市江尻東一丁目五番一号

被控訴人

清水税務署長 中村修

右指定代理人

新堀敏彦

信太勲

木村勝紀

小田嶋範幸

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は、控訴人の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  控訴の趣旨

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が控訴人に対し昭和五八年三月二日付けでした控訴人の昭和五四年分、昭和五五年分及び昭和五六年分の各所得税の各更正及び過少申告加算税賦課決定をいずれも取り消す。

3  訴訟費用は、第一、第二審とも被控訴人の負担とする。

二  控訴の趣旨に対する答弁

主文と同旨

第二当事者の主張及び証拠関係

次のように付加、訂正するほかは、原判決の事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

原判決九頁二行目の「被告主張」を「控訴人主張」に、同一四頁五行目の「所有期間一〇年以下の」を「昭和四四年一月一日以降に取得された」に改め、同行目の「あるから、」の次に「昭和五七年法律第八号による改正前の」を加える。

理由

一  当裁判所は、控訴人の本件請求は理由がないからこれを棄却すべきものと考える。その理由は、次のように付加、訂正、削除するほかは、原判決の理由説示のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決三三頁一行目の「買主との間の」の次に「本件土地等の」を加え、同三五頁一行目の「一八八万円」を「一八八万五〇〇〇円」に改め、同三行目の「除いた額」の次に「であるが、磯部に対しては、税金保留金の一割に当たる九万三〇〇〇円が余計に支払われている。」を加え、同四行目から同三八頁六行目までを削る。

2  同四八頁六行目の「右石原は、」の次に「乙第二号証において、」を加え、同五八頁三行目の「分筆前の四九九九番一九の土地」を「本件隣接地」に改め、同五行目の次に次のように加える。

「 なお、控訴人は、被控訴人が本件各処分時、本件異議申立時及び本件審査請求時においても、また、本件訴訟の当初の段階においても、元敬が共同出資者であるとしていたことからすれば、元敬が共同出資者であると認めるべきであり、また、被控訴人は課税根拠を改めることは許されないと主張するもののごとくであるが、右被控訴人の主張をもって元敬が共同出資者であるとするに足りないし、被控訴人が本件各処分の課税根拠の主張を改めること自体は、それが訴訟上の信議則に反する等特段の事情がない限り、許されるのであって、結局控訴人の右主張は採り難い。」

3  同六五頁九行目の「所有期間一〇年以下」から同一〇行目の「昭和五六年二月)の」までを「昭和四四年一月一日以降に取得された(昭和四八年八月三〇日取得)」に改め、同一一行目の「あるから、」の次に「昭和五七年法律第八号による改正前の」を加える。

4  同六七頁九行目の次に次のように加える。

「 控訴人は、本件土地のうち五〇一一番四の土地につき実測により縄延びがあったことから、昭和四九年三月九日上村に対し右土地代金のほか二九〇万円を清算金として支払ったと主張し、これに沿う証人石原の供述があり、甲第一、第二号証の各三によれば、石原が本件隣接地の縄延び分として控訴人から金員を受領した日と上村が控訴人から二九〇万円を受領した日が一致していることが認められる。しかし、右二九〇万円の金額は、右土地の売買代金中残金から税金保留金を差し引いた金額と一致し、右土地の売買代金について、上村が控訴人から右金員のほか、手付金、中間金を受領したものの、それ以上に金員を受領したと認めるに足りる証拠はないこと(乙第七四号証によれば、昭和四八年一二月二二日上村の口座に九八万三五〇〇円が入金された旨の記載があるが、右入金記帳を取り消す旨の記載もあるから、同日右金員が上村の口座に入金されたものと認めることはできない。)、たとえ、石原及び磯部が縄延びによる清算金を要求し、これを受領していても、当然に、上村がこれを要求し、受領したとはいえず、また、これを支える上村の供述も得られていないことからすると、右二九〇万円は、右土地の売買代金中残金としてこれを受領したものであると認められるのであって、これを縄延びによる清算金と受領したものと認めることはできない。したがって、控訴人の右主張は採用できない。」

二  よって、これと同旨の原判決は相当であるから、本件控訴を棄却し、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法七条、民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 鈴木康之 裁判官 丸山昌一 裁判官 伊藤茂夫)

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